『動絵狐狸達引(うごきえこりのたてひき)』 大石郁雄監督 東宝教育映画株式会社(P.L.C.映画製作所)作品
昭和8年の大晦日に公開されたという、大変に古いアニメーション映画です。こんなに古いと、平成の現代とのつながりを発見するのも大変なことかと思ってしまいます。しかしそこには、どこまでも懐かしい漫画映画世界が展開し、昭和は昭和、今と決して無縁ではないことに気付かされます。
古賀政男の『酒は涙か溜息か』も出てきます。おや?時代はどうなっているんだと思って調べてみますと、『酒は涙か溜息か』が発表されたのは昭和6年、歌ったのはテレビの時代にも活躍した藤山一郎です。古賀政男もよくテレビには登場していましたから、この歌でまた、遠い昔が現代としっかりつながります。
古賀政男の曲は、日本で唯一の音楽ではないかとさえ思います。本当の天才がいて、音楽不毛の日本に、本物の音楽をもたらしたのだと思います。大正時代に童謡の名曲がいくつも作られたとはいっても、所詮は賛美歌や欧米民謡などの曲調を拝借したような作品ばかりでしたから、本当の日本の音楽と呼ぶには、欧米文化を前にだと気が引けてしまいます。しかし古賀政男は本当のオリジナルであり、日本の古典音楽だと思うのです。
横道に逸れましたが、古い映画作品というのは、古い新聞や雑誌以上に、時代を生きた人々をよみがえらせてくれます。そしてそれが間違いなく現代とつながっていることにも気付くのです。
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