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2008年11月2日

取り返しのつかぬ過ち 『オモチャ箱 シリーズ第3話 絵本1936年』



昭和11年(1936年)J.O発声漫画による制作『オモチャ箱 シリーズ第3話 絵本1936年』なる動画作品である。

見終わって暗澹たる気持ちに陥ったのは筆者だけではあるまい。

まず、作品の質において甚だ水準低し。企画、構成、キャラクターデザイン、アニメーション技術、声優に至るまで、作品それ自体としては見るべきものなしと判ぜられる。

しかしながらこれを8年後公開の昭和19年(1944年)『桃太郎 海の神兵』に至る時系列において見るなれば、資料価値としてかくも得難き資料も比類なきものと得心せるものである。

いささか怪しい戦前調の文体を改め、以下は普通に書くことにします。

南の島、これは『桃太郎 海の神兵』においても重要な舞台として使用された日本軍の占領地です。その地において、現地住民を意味する動物たちなどに、「日本文化」をもって歌や踊りを楽しむ風景が、さも当然のこととして展開します。

ここにこそ、私たち民族ならぬ私たち日本人がかつて到達した国家主義的思想に基づく疑いなき善意と、他民族・他文化にとっていささか迷惑な人道主義を垣間見ることができるわけです。

国家主義、軍国主義という思想は、私たち日本人の生活や経験とは無縁のものであることに注意しなければなりません。さらに言えば、あらゆる「思想」が、人心を生活道徳から乖離させる元凶となりうる危険なものであることにも認識をおくべきところでしょう。

かつて私たちの父たちや祖父たちは、その認識を持たなかったというのが事実であろうと考えるところです。そのような無意識、そのような人道主義によって、「思想」を尊きものと信じて疑わぬ少年たちを育成してきたことは、大日本帝国最大の過ちであったと見ることに異論はないはずです。

「大日本帝国」とは即ち、上記のように、私たちの素朴な心に、その生活とは無縁の価値観や慢心をもたらすための人工国家だったのです。

2008年10月19日

茶目子の一日 昭和6年(1931年)作品



昭和6年(1931年)作品、『茶目子の一日』

夜が明けて、眠いのに起きて、ライオン歯磨きで歯を磨き、ご飯と卵のおつけを別々に食べ、おこうこも食べて苦しいくらいに満腹になった茶目子さんは、電車に乗らずに歩いて学校へ行って、算術(さんじゅつ)と読本(読本)をやって、読本ではたいそう褒められて、ご褒美に活動に連れて行ってもらうのでした。

最高に面白い、戦前のアニメーション映画です。

『茶目子の一日』は、大正8年(1919年)にレコードで発売されて大ヒットした、ストーリーのある童謡のようなものだったそうです。それがアニメ化されたということのようですね。

2008年10月16日

『動絵狐狸達引(うごきえこりのたてひき)』 昭和8年(1933年)12月31日公開作品



『動絵狐狸達引(うごきえこりのたてひき)』 大石郁雄監督 東宝教育映画株式会社(P.L.C.映画製作所)作品

昭和8年の大晦日に公開されたという、大変に古いアニメーション映画です。こんなに古いと、平成の現代とのつながりを発見するのも大変なことかと思ってしまいます。しかしそこには、どこまでも懐かしい漫画映画世界が展開し、昭和は昭和、今と決して無縁ではないことに気付かされます。

古賀政男の『酒は涙か溜息か』も出てきます。おや?時代はどうなっているんだと思って調べてみますと、『酒は涙か溜息か』が発表されたのは昭和6年、歌ったのはテレビの時代にも活躍した藤山一郎です。古賀政男もよくテレビには登場していましたから、この歌でまた、遠い昔が現代としっかりつながります。

古賀政男の曲は、日本で唯一の音楽ではないかとさえ思います。本当の天才がいて、音楽不毛の日本に、本物の音楽をもたらしたのだと思います。大正時代に童謡の名曲がいくつも作られたとはいっても、所詮は賛美歌や欧米民謡などの曲調を拝借したような作品ばかりでしたから、本当の日本の音楽と呼ぶには、欧米文化を前にだと気が引けてしまいます。しかし古賀政男は本当のオリジナルであり、日本の古典音楽だと思うのです。

横道に逸れましたが、古い映画作品というのは、古い新聞や雑誌以上に、時代を生きた人々をよみがえらせてくれます。そしてそれが間違いなく現代とつながっていることにも気付くのです。

2008年10月14日

「Tom and Jerry」(Dick and Larry)の『Wot a Night』



昨日に引き続き、Van Beuren の「Tom and Jerry」(1950年代に「Dick and Larry」と改名)です。これは1931年(昭和6年)に公開された第一作で、『Wot a Night』というタイトルの作品です。

ちょっとレイシズムな表現もあったりして、さすがに時代を感じさせるものではありますが、アニメーション映画の原形のような豊かな表現がむしろ新鮮で、70年以上経った現代の私たちをも笑わせてくれます。

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